新しい時代の個人情報新入社員教育(1)
時代が変わってきた
コロナ禍で強制的にさまざまな変革が求められていますが、早く終息を願い、そして元に戻ろうというのではなく、新しい時代の到来であるととらえ、それらに適応しようとする企業こそが生き残っていくのではと思います。
個人情報保護をとりまく環境も変化しています。2020年6月に改正個人情報保護法が可決・施行されました。また、JIS Q 15001も 2017年版となり、プライバシーマーク審査基準もすでにそちらに移行しています。
さらに、情報セキュリティをとりまく環境も変化していますし、あわせて自宅勤務やテレワークなど、自社オフィス以外で仕事をする機会も増え、あらたなセキュリティルールや情報保護マインドが必要となってきました。
新入社員教育
このような中、新入社員を迎え入れる企業や団体さまは、新入社員教育の方法やあり方にも苦慮されていることと思います。
新入社員といえども「会社の顔」の一人ですから、ないがしろにしておくわけにはいきません。お客様やパートナーからの信頼を損ねたり、何か問題を起こしたりされては大変ですから、これまでどおり、あるいはこれまで以上に新入社員教育はしっかりやらねばならないとお考えのことと思います。
一般的な新入社員研修の内容、たとえば名刺交換の方法など社会人の基礎知識については、自社で作成したり、教育事業者各社のコンテンツを活用することができるかと思います。しかし、個人情報保護に関してはどうでしょうか?
私が知る限りは、今のところ、この新しい時代に即した内容を提供されているものは見つかりません。新しい時代どころか、そもそもが良質なコンテンツは少なく、だから漏洩事件が後を絶たないのではとも考えられます。驚くことに、個人情報保護教育のそもそものそもそもである「個人情報とは」が間違えている教育内容も少なくなくて、また、個人がどう対応しようもない漏洩事例の紹介と罰則で脅すことが中心だったりと、目的とゴール地点を間違えていると思えるものが少なくないように思います。
さらにそもそもですが、個人情報保護に関する教育は、自社に沿ったものでないと実質的には意味がありません。法律を知ってても社内規程を知らないと意味がありません。たとえば、「本人は開示請求ができる」ということを知っていても、自社では、どこにどのようにして問い合わせればよいかを知らなければ、お客様には対応できません。自分の会社はプライバシーマークを取得しているからということで、個人情報保護方針を自社Webのトップからワンクリックしたところに掲示するのが義務だと知っていても、それを見たことなければ意味がありません。
新しい時代の新入社員教育
新型コロナは2021年の新入社員教育の時期までに終息することは考えにくいので、できるだけ集合研修は避けたいところです。個人情報マネジメント教育は、オンラインでも実施可能で効果は得られます。リアルタイムオンライン講座もよいですが、動画講座でも内容次第で十分な効果が得られる研修は可能です。
それらは、自社で作るのが理想です。今年は入社人数が少ないので、そんなことに時間をかけてられないという企業や団体さまも少なくないと思います。しかし、そもそも新入社員教育の内容は、全従業者教育の内容との連動性がないといけません。中途採用者向けを含めて、全従業者教育をしっかり作成していれば、それをもとに作ることができます。それらがまだないということであれば、この機会に、そちらも視野に入れて、教育コンテンツの整備をすることをおススメします。